FMEAとは
製品の設計は機能/性能や法的規制、企業向けであれば顧客要求事項を最上位の要件として、それを満足できる様にそれぞれの要素に分解しながら設計していきます。
その分解作業が「設計FTA」に該当し、分解結果=設計要素となります。
そして、設計要素が最上位の要件のほかに影響を及ぼさないかを検証するのが「FMEA」です。
一言で表現すると、「予想外の影響を調査するツール」です。
FMEA考え方の例
製品の例として、ボールペンのキャップとケースを扱います。
キャップの機能として、[1]一定の力で抜けない事、[2]一定の力で組み付けできる事が挙げられます。
この機能を分解すると、キャップの内径とケースの外径の圧入量を設定する必要があることが設計FTAで明らかになります。
設計していく中で、円形状同士だと接触面積が多く、キャップとケースの寸法公差の幅が狭くなることに気づきました。
そこで、ケースの形状を綺麗な円形状から正6角形に変更し、接触面積を減らすことで、交差幅を確保する対策としました。
しかし、この6角形に形状変更をした結果、ペンを握る場所に角ができてしまい、使う人が不快に感じる形になってしまいました。
この最後の事象を予防するのがFMEAの最大の役割となります。
今回の例の場合は、「形が変わったらどういう影響があったのか」を考える必要があります。
FMEAとFTAの関係
先ほどの例で勘付かれた方もいらっしゃるかと思いますが、使用者の使用感がFTAの上位の要件とすれば、設計初期段階から設計に盛り込めます。
今回は馴染みの深い製品を例としましたので、それでも良いのかもしれません。
しかし、新製品や機能が複数存在する製品の場合、FTAの上位の要件から漏れる事が多くなります。
FTAとFMEAはツールとして長年使用されており、使い方は一般化していますが、要件や影響を想像するのは人である以上、ミスや漏れが発生するのは仕方がありません。
その為、FMEAで新たに想像した影響をFTAの上位の要件にフィードバックし、ノウハウ化していく必要があります。これが企業の財産になるのです。