工程FMEAが無意味に感じる理由

皆さんは工程FMEAを作成している際に、「こんな書類が役に立つのか?」とか「だれがこの書類を使うの?」等の感情が生まれていませんか?
ここでは私や私たちエンジニアの先輩方の経験を基に、その理由を紹介します。
これらを言葉で認識する事ができれば、そうならない為の対策を考える助けとなります。

最大の理由は、使い手がいない書類を作る事が苦痛

工程名称をはじめ、故障モード、製品・企業・社会に与える影響、発生原因等々、工程FMEAには記載しなければならない項目がいくつかあります。
構成部品が少なかったり、工程が少ないもしくは短い場合は作る事にたいして苦ではありませんが、複雑な製品や長い工程の場合はそうはいきません。
そして、超大作となった工程FMEAは辞書の様になり、作るのも辛い上にそれを使う側も全てを読む気がなくなってしまいます。
作る事が面倒で無意味に感じるよりも、使われる可能性が低い書類を作る事が虚無感につながっています。

作る事に時間がかかり、内容の検証ができない

会社のルールや顧客の要求によって作成することになる工程FMEAですが、前の項でも触れた通り記載しなければならない内容が膨大です。その為、作成するだけで手間と工数がかかってしまい、肝心な中身の検証がおろそかになる事が非常に多くあります。
そして、量産が始まり予想外のトラブルが出ると、「工程FMEAの検証が漏れたからだ!」と作成者や担当部門が責められるわけです。
時間も人もお金も限られている中でヒイヒイいいながら作ってもこの仕打ちが待っているのが予想できると、作る側のモチベーションが下がるのは当然です。

作成者や担当部門だけで検証している

企業によって異なりますが、例えば品質だけ、生産技術だけ、製造だけで工程FMEAを作成している事が多いです。
表向きは「部門横断で検証するものだ」と言っていますが、実態はどこかの部門が作った物を最後にレビューしてみんなのサインを入れている。という状況が大多数です。
レビューする頃には製品設計や生産工程の設計は終わりを迎える頃になっているので、ここで製品仕様や設備仕様に対策を反映しようとしても手遅れです。

対策方法は状況次第

残念ながら一概に「こうすればすべて解決!」と言える方法はありません。
単純に作成工数を減らす為に標準化すれば良いと言われれば聞こえは良いかもしれませんが、果たしてあなたの会社のリソースで標準化できますか?
過去の実績を調査して標準化が終わる頃に、ラインの更新やIoT化で別物の仕組みに変わっていませんか?
企業がこう言った未然防止の検証にどれだけリソースをかける事ができるかは、会社の規模や経営陣の采配によって決まってしまうのが現実です。

しかし、言わない事には絶対に状況は変わりません。
色々な部門が使う事になる工程FMEAだからこそ、各部署がその大切さを理解し、一丸となって取り組み、声をあげていかなければなりません。

どんな会社の状況でも共通して言える事は、作り方の改善や記載内容の標準化よりも先に、関連部門との意思統一が必要だという事です。

タイトルとURLをコピーしました